裕子Drの部屋 #01 口ごぼについて

 このお部屋では、初診相談などでよく質問される内容について、50年近い臨床経験をもとに、お答えを順次ご紹介させていただきたいと思っています。少しでも皆様のお役にたてることがあるとすれば幸いです。

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Q1:「口ごぼ」だと思うのですが、きれいに治りますか?

A: 「口ゴボ」は矯正の専門用語ではなく、近年、一般の方が使い始め、SNSで広まった造語と言えるでしょう。口元が出ていて、ごぼっとなっている状態が、「口ごぼ」と呼ばれているようです。最近ではイノウエ矯正歯科にも毎日のように、「口ごぼが気になる。口ごぼを治してほしい。」という患者さんがおみえになります。ときには、他院で矯正を終わったのに口ごぼが治らなかったと相談に来られる方もおられます。

 そこで、気を付けなくてはいけないのが、口ごぼには2種類あり、歯の角度に問題がある口ごぼと、骨格に問題がある口ごぼがあるということです。その見極めをしっかりして、治療方針を決めていくことが大切です。そのためには、横顔のX線写真=側面頭部X線規格写真の分析(セファロ分析)がとても重要になります。

(写真左は、歯だけに問題がある口ごぼ、右は骨格に問題のある口ごぼです。)

Q2:「口ごぼ」だと思うのですが、きれいに治りますか?

A: 原則的に、歯の角度に問題のある人は矯正のみの治療で、上下左右1本ずつ、合計4本の歯を抜いて治療します。骨格に問題のある人は外科的矯正治療で対応していくことになります。したがって、きちんと横顔のX線写真(側面頭部X線規格写真)を撮って分析し、口ごぼの原因がどこにあるかを判断して、治療方針を決めていく必要があるのです。骨格に問題のある口ごぼは、下顎が小さすぎる、あるいは下顎の形状が特徴的でオトガイ部(口元の下の部分)が前に出ない、ことが原因です。

横顔のX線写真の骨の形をトレースし、基準点をコンピュータに入力して書き出した平均との重ね合わせ(紺:平均 赤:患者)を診ると、上顎の骨の位置は、平均に比べ前の方に出ていますが、上の前歯の角度は平均とほぼ同じで、歯の角度に問題があるのではなく、上下顎の位置と形状に問題があることがわかります。この方は外科的矯正治療でなければ、良好な結果を得ることができません。(注:外科的矯正治療を保険で受けるためには、病名(疾患としての名称)が必要となります。単なる美容目的では、保険は適応されません。)

「矯正治療の成功不成功を決めるのは、診断の正確さが9割」と言われています。「治療が終了したと言われたのに、口ごぼが治っていない。」と後で後悔することのないように、側面頭部X線規格写真の分析結果に基づいたきちんとした診断・治療方針の元に、治療を開始してもらうことが大切です。

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