#05 成人矯正の装置の種類について

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Q1:表側ワイヤー、裏側ワイヤー、マウスピース型(アライナー型/インビザライン)のうち、私にはどの装置が良いのでしょうか?

 よく聞かれる質問です。結論からお伝えしますと、最も安心安全な装置としてお勧めしたいのは、表側のワイヤー矯正です。

 装置が見えるのが嫌という方には、「とんでもない!」って、お叱りをうけてしまいそうです。実際に、お嬢様をお連れになったお父様に、「こんな不細工な装置を、娘につけるなんてとんでもない!」と言われたこともあります。確かに嫌ですよね。お気持ちよくわかります。でも、現時点では、やはり表側からのワイヤー矯正をお勧めしたいと思います。それには理由がありますので、次の質問でお答えします。

Q2:裏側ではなくなぜ表側なのですか?

 私も30~40代の頃は、裏側(リンガル)からの矯正で、きちんとした結果を出してあげることが矯正専門医の鏡だと思って頑張っていましたが、ある時、ふと気づいたことがあり止めました。それは何かというと、、、「もし、あなたが歯にシールを張るとしたら、表側と裏側とどちらが貼りやすいですか?」とお聞きすると、すべての患者さまが「表」と答えられます。「では、やりやすいやり方とやりにくいやり方では、どちらのゴールが高いと思いますか?」とお聞きすると、「やりやすい方」というお答えが返ってきます。私もこの当たり前のことに気づいた瞬間に裏側をやめました。

装置が見えないことよりも、ゴールが高いことの方が大切と思った方は、表側を選択されます。中には、「表側に装置をつけるぐらいなら矯正はしない。」と思う方もおられるかと思います。それは残念なことなので、そういう方には、あれもこれもやれますという先生ではなく、裏側矯正をとことん追求されている先生のところで治療をうけられることをお勧めします。ご希望であればご紹介させていただきます。

Q3:マウスピース型(アライナー型)でなくなぜ表側なのですか?

マウスピース型は、海外ではもう30年以上前から始まっており、私もその頃、シンガポールで開催されたAPOC(アジア、オセアニアの矯正歯科医会)で発表されていたのを聞きました。その頃は、ほとんどのドクターが否定的だったのですが、どんどん拡がりを見せ、日本でもここ10年ほどの間に急激に普及しきています。ワイヤー矯正とは違って、特別な矯正治療の訓練を受ける必要もなく、経験を積むこともなく、簡単にできるので、否、簡単にできるように思えるので、多くの歯科医師が手掛けようとしているのです。パソコン上で、いかにも簡単に、きれいな歯並びに治ってくるsimulationを見て、その通りに矯正治療ができると歯科医師も患者さまも信じてしまうのです。もちろん、最近では素晴らしい症例報告も見受けられますが、それはごく一部であって、その陰で多くの患者さんが困っておられます。当院には、「マウスピースを入れ続けていれば治る、と言われたが、治るような気がしない。」あるいは、「IPR(歯の両側を削って歯を小さくすること)を、これ以上されたくはない。」などと言って相談に来られる方が後を絶ちません。

 マウスピース型には見えないという他に、歯磨きがしやすいという大きなメリットがあるのは素晴らしいと思うのですが、ワイヤーと違って、歯の移動方法に限界があることが報告されています。どの歯にどの方向にどれくらいの力がかかっているのか?ということが、不明瞭だという点も欠点として挙げられます。

 有限要素法解析による力学的な研究結果も報告されてきていますので、もう10年か20年すれば、その欠点が克服されて、安心して使える装置になっているかもしれませんが、今はまだ途中段階と言えるでしょう。

 ですので、現在、より良いゴールを確実に目指すには、最も安心安全なワイヤー矯正をお勧めしたくなるのです。以前にお話しさせていただいたように、矯正治療は生涯にわたる健康を支える大切な医療だからです。ご理解いただけましたら幸いです。

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