装置が出来るまで①
矯正を始めたら、すぐ装置がつくわけではないのですか?と、患者さんから聞かれることがあります。
そういう私も、衛生士になるまでは、そう思っていました。
装置(いろんな種類がありますが・・・)が患者さんの歯にセットされるまでを、シリーズにしてみたいと思います。
まずは セパレートといって歯と歯の間にゴムをはさみます。
イノウエ矯正&歯科で使っているのは、水色のゴムです。歯と歯の間に少し隙間を作るためにこのゴムをはさみます。
装置が出来るまで②
セパレートで歯と歯の間に隙間をつくりました。 その隙間を使って、歯に金属のわっか(バンドと言います)をあわせていきます。
歯の大きさは、人ぞれぞれなので、その人の歯にあった バンドを、探していくことになります。
詰め物が入っている歯や、複雑な形の歯、歯と歯の間がキチキチで セパレートの効果が出にくいタイプの歯の持ち主の方は、 バンドをあわせる作業に手間取ることもあります。
バンドはうすい金属ですが、セパレートを入れてないと、 歯と歯がくっついていて、無理やり押し込むことになります。 なるべく、痛みのない状態で、バンドをあわせたいので、 セパレートに来ていただいています。
このように、歯にフィットしたバンドをあわせ、歯型を採ります
装置が出来るまで③
装置のためにミント味の粘土のようなもので、歯型を採ります。
(歯科用語では「印象を採る」と言います)
採った印象に、あわせたバンドを戻して、口の中と同じ状態を作ります。
歯からバンドを外して印象にはめると、こんな感じです
その印象に石膏を流して模型にします。
装置が出来るまで④
矯正治療のなかでは、
- 装置を作るため
- 資料のため(現在の歯並びが分かるように)
- 院長が立体的に歯を見たいとき
などに、印象を採ることがあります。
「この間採ったのにまた??」と聞かれるときもありますが、目的が違うことがあるのです。
また歯は日々動いています。過去と全く同じ歯の位置は、ほとんどありません。正確な模型を作るためには、どうしても必要なことなのです。
印象を採られたことのある方は、お分かりだと思いますが、正直気持ちのいいものではありません。大変ですが、ポイントを少し・・・
体の力を抜いて、リラックスして、お鼻で呼吸をすると比較的楽に採れます。
装置が出来るまで⑤
ここからは、☆技工部門☆になります。
イノウエ矯正歯科には、常勤の技工士が一名、アルバイトが一名勤務しています。
常勤は3代目になり、初めての男性技工士です。
アルバイトも今までは全て女性でしたが、現在は男性です。
たまーに診療室に顔を出すことがありますが、1階に技工室があり、(診療室は2階、待合室は3階です)普段はそこで、装置を作ったり、模型を作ったりしています。
普段の診療の中では見ることが出来ない所なので、写真もいっぱい使って、説明していきたいと思います。
印象(歯型)にバンド(金属のわっか)を戻して石膏を流して模型にしていきます。
まず、前準備です
バンドが石膏を流している間に動かないように、針金で固定します。
次に、ワックス(熱で柔らかくなる、ロウのようなもの)をバンドの内側に流し込みます。
これは、バンドに熱を加えた時に、石膏とバンドがくっつかないようにするためです。
ここで、石膏の登場です。
石膏に水を加えてまぜ どろどろにします
印象に石膏を流して行きます 形を整えて、固まるのを待ちます
出来上がりは、もうすぐです。
装置が出来るまで⑥
石膏が固まったら、その模型にあわせて、ワイヤー(針金)を曲げていきます。
装置によって形は様々です
ワイヤーを自在に曲げる、技工士さんはすごい!!
簡単そうだけど・・・やってみると、あらぬ方向に曲がってとても難しいのです。
次に熱した金属を溶かし、曲げたワイヤーとバンドを接着させます
模型から外して、キレイに研磨します。
これで技工は完成です☆
装置の印象を採ってから、1か月くらいで出来上がります。
今回の装置は、クウォード・へリックス(Q.H)と言う装置です。
ループが広がろうとする力うを利用して、歯列の幅を広げていきます。
ついに次が最終回です。
装置が出来るまで~最終回~
患者さんのお口に装置が入ります。
装置をセットするお約束の少し前に、再度セパレートを入れます。
前回は、1個ずつバラバラのバンドをあわせたので、多少隙間が少なくても、押し込むことが出来ました。
しかし、装置が出来てくると、バンドが2個セット(3個・4個の装置もあります)になっているので、隙間が少ないと、難しくなり、痛みがあることもあります。
クウォード・へリックス(Q.H)の場合は、ワイヤーの部分を歯列の幅より広げてセットするので、押し込まれる感じがあると思います。
それもこれも、歯を動かして、キレイな歯並びにするためです。
(小さいお子様でも、大丈夫なので、心配はないです!)
その日から、歯は動き出します。
また、装置の周りの歯磨きが難しくなってきます。
歯だけなく、装置の上、装置と歯茎の間もしっかり磨いて下さい。
キレイな歯並びを目指して頑張りましょうね!!