よく、矯正専門開業医と一般の歯医者さんの矯正はどう違うのですか? と聞かれます。ちょっと長くなりますが、おつきあいくださいね。
1:歯学部を卒業後、大学の矯正学講座で、矯正専門の勉強を終了しています
内容は各大学によって多少異なりますが、大阪大学では3年間の研修期間に、教科書や文献を読んで矯正の基礎を学び、国内外の先生の講義を聞き、指導教官の下で患者さんの治療経験を増やしていきます。歯学部在籍中の矯正の授業時間は短いので、矯正科に残って、初めて矯正学の勉強が始まると言えます。
2:矯正専門の試験を受けています
その後、2年間以上の経験を積んで、日本矯正学会認定医試験を受けます。私の場合は、さらに、日本矯正歯科学会専門医試験を受け、合格しています。現在合格者は、全国で200名ほどです。
3:症例経験数が違うはずです
私たち矯正専門開業医は100人患者さんを治療すれば、100人とも矯正治療の患者さんです。一般歯科での矯正治療の患者さんは5%を切るでしょう。矯正専門医の治療実績が、より多くてあたりまえですよね。自慢ではないですが、私たちは、入れ歯や詰め物の治療は、全く出来ません。その分、矯正治療にすべてをかけています。
4:矯正治療の勉強にかける時間が違うはずです
前述のように、私たちは歯学部を卒業後、矯正治療の知識と技術、および矯正にかかわる歯周病や顎関節など一般的な領域について研鑽を積んできています。その後開業した後も勉強を続けていますが、臨床経験数と同じく、100時間勉強すれば100時間、矯正治療に関する勉強です。一般の先生がいろいろな勉強をされる間、私たちは矯正に関することだけを勉強しているのですから、矯正に関する勉強量は、多くなって当たり前ですよね。
5:矯正治療の結果を確認するには、かなりの時間を要します
一人の同じ先生が、一人の患者さんをずっと長く治療し、治療後も経過を追って、初めて結果が出ます。大学病院やその他の大きな病院では、先生の入れ替わりがあるので、同じ先生に診てもらう事が難しいのです。入れ歯や詰め物の治療であれば、すぐに終了して結果がわかりやすいのですが、矯正の場合、高校生以上の複雑な装置で治す治療でも、通常、治療に2年、安定確認に2年ぐらいかかりますし、小学生から開始する治療では、結果が出るのに10年以上が普通です。矯正専門開業医なら、一人の先生に、責任をもって治療してもらえます。ときどき、昔、矯正治療してもらったけど。。今は。。。という話を聞きますが、残念な結果にならないためにも、ずっと長く診てもらうことが大切です。
6:他の専門医どうし、治療レベルの高さを確認しあっています
同じ診療所で、虫歯治療などの一般の治療ができないのは、多少物理的な不便があるかもしれませんが、矯正の治療成績が他の歯科医の目に触れるということは、他のプロの目に評価されるわけですから、いい加減な治療はできません。素人の患者さんには、本物の矯正治療のゴールを判断することが難しく、これで終わりですと言われれば、そんなものかな。と思わざるをえないと思いますが、歯科医はプロの目を持っていますから、かかりつけ歯科医さんからお預かりした大切な患者さんの治療を終えて帰っていただくときには、ちゃんとした評価をいただく必要があります。
また、イノウエ矯正歯科では、口腔外科、放射線科、歯周病、補綴(かぶせ物)、移植、そして耳鼻咽喉科のエキスパートの先生方と連携をとりあっていますので、それぞれ専門分野の治療のレベルを確認しあいながら、治療を進めていくことができます。カンファレンスを行い、メールを交換し、何度も意見交換して、治療方針を決め、治療を進めていきます。
矯正専門開業医には、プロの目による評価に応えられる治療レベルの高さが求められています。通院の便よりも、もっともっと大切なものがあると思います。