矯正専門医ってヘンナヤツ!と思っておられる一般歯科の先生方もおられるのではないでしょうか?先日、大阪大学の大阪府同窓会の小冊子に投稿した原稿をご紹介させていただきます。私の一般歯科の先生方への熱い想いを少しでもご理解いただければ幸いです。
矯正と共生
共生とは、「異種の生物が相手の足りない点を補い合いながら生活する現象」と辞書にあります。お互いがお互いの為になっている。というイソギンチャクとクマノミの関係です。放射線科の元教授渕端先生が、謝恩会か何かの席でのお話の中で取り上げてくださった時から、私の中で確固たる地位をkeepしている言葉です。渕端先生にはこの場をお借りしてお礼申し上げます。
ところで、キョウセイとキョウセイとダジャレで遊んでいるみたいですが、GPの先生方と私のような矯正専門医との共生について、私の夢をこの場をお借りしてお話させていただきます。すなわち、GPの先生にも良く、矯正専門医にも良く、もちろん患者にも良い。というような関係ができたらいいな。という夢です。
開業して12年になると、クチコミで直接来院される患者が増えてきました。そうすると、もう少し早く来院されていたら、もっと簡単な症例として治療できたのに、と思う場合にしばしば遭遇します。歯科医院に通院したことはありそうだけど、矯正の話はなかったのだろうなと残念に思う患者さんや、かかりつけの先生から永久歯に生えかわってからと言われましたが心配になって受診しました。という患者さんもおられます。確かに矯正は自費なので、患者さんの負担も大きく勧めにくい部分もあると思います。患者さんが初診相談の後、NOと返事をする確率が高いと、専門医に迷惑がかかるかもしれないと気遣ってくださる先生方もおられるかもしれません。患者さんが開始を決定するかどうかは、患者さんと私達との問題ですから、お気遣いは無用です。矯正が必要と思うから話だけでも聞いてみたら?ぐらいの感じでお勧めいただければ幸いです。
矯正をされるGPの先生や小児歯科の先生方とも、良い関係が築ければいいな。と思います。患者さんが小さい時は、通院が楽であるということは大切ですし、もし、簡単な介入だけで正常咬合に導くことができれば素晴らしいことだと思います。が、第二期治療が必要になるケースも多々あります。その時は、治療方針や費用などの問題なく、矯正専門医と連携プレーができるといいと思います。転医する体制が整っていれば、患者さんもドクターも安心して、一期治療を開始できるのではないでしょうか?
逆の紹介パターンについてもお話します。成人患者さんの多くは、紹介無く直接当院を受診されるのですが、そのほとんどがC2程度のカリエス、初期の歯周病を伴っています。かかりつけの先生がおられない場合には、診断の後、私はGPのK先生に、山のような治療依頼を書くことが度々です。その後、患者さんのご家族もK先生を受診されているようです。急患のご無理をお願いしてご迷惑をおかけすることもありますが、患者さんにとっても先生にとっても素晴らしいかかりつけ歯科医の関係づくりに、ちょっとお手伝いできているかもしれないと思うのです。
もちろん、私達矯正専門医も信頼していただける実力をつける必要があります。患者さんに満足いただけなければ、紹介した先生の責任が問われるかもしれません。訴訟の国アメリカでは、紹介する側の責任を逃れるため、矯正専門医を2,3人紹介するGPもおられるようです。それでいいと思います。
私は今、日本矯正歯科学会の専門医制度準備委員会の一員をしています。専門医の認定には厳しい公正な審査を行い、社会から信頼される制度としてスタートすることを目指しています。GPの先生方に矯正治療をよりご理解をいただき、私の夢のような“共生”によって、多くの人達が8020を達成されることを願って筆を置きます。