今日の初診相談の方は、セカンドオピニオンを求めにこられた方でした。
”それで、そちらの先生はどう言っておられるのですか令”とお尋ねしたところ、”ご本人が希望するなら下の歯にもつけます。嫌がるならこのままです。”とのこと。。。
以前に、”NBM:Narative Based Medecine”といって、患者さんの物語に耳を傾ける医療が大切だと、このブログでも紹介しましたが、それとこれとはちょっと違うぞ。と思いました。
患者さんは素人さんなので、本物の矯正とはどんなものか、どういうゴールを目指すべきなのかが、わからなくて当然ですが、以前にもお話しましたように、アメリカのお母さん方は、矯正のことをよく知っておられます。日本のお母さんも、がんばって、矯正治療ってどんなもの。ということをよくわかっていただきたいな。と思いました。そして、そのためには、私たち専門家が、お母さん方に、わかっていただきやすい環境を作っていかないといけないんだな。とあらためて思いました
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タグ: 相談
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患者さんが希望すれば。。。?
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永久歯がはえ揃ってから?
昨日の新患さんのお母さんから、”矯正相談は、永久歯がはえ揃ってから。。と思っていたのですが、そうではなかったのですか令”と質問されました。
ときどき、そうおっしゃるお母さんに出会います。一般歯科の先生に言われたり、なんとなくお母さん方の間で、そんな話がふわふわ飛んでいたり、のようです。
そうではなくて、なんだかヘンだな?これでいいのかな?と思ったら、早めに、矯正のご相談を受けてみられることをお勧めします。過介入はマイナスですが、早い方が治しやすいことが多いのです。遅くなると骨格性のコントロールが難しくなったり、不正咬合によるマイナスが大きくなっていたりします。
開始の必要がなければ、過介入を避け、観察を続けます。少しでも自然治癒の可能性のある患者さんには、開始はお勧めしません。イノウエ矯正歯科には、観察のまま、あるいはアドバイスだけで順調に進み、矯正治療なしに無事成長されたお子さんもおられます。
永久歯がはえ揃うまで待つのではなく、早めに相談にいらしてくださいね。
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寝ている間に済む手術
扁桃腺肥大がアゴの発育に大きな影響を及ぼしていることがあります
。Sちゃんもその一人で、あまりに扁桃腺が大きいので、市民病院に、扁桃腺摘出術の相談に行っていただくことになっていました。でも、Sちゃんは嫌そう
で、お母さんもそのSちゃんの様子を見て、かわいそうだから、、と消極的なので、ちょっと心配していました。
そのSちゃんが、昨日おみえになったのですが、お母さんもSちゃんもとても笑顔で、夏休みに手術をしていただくことに決まりました。ってお答えになるので、びっくりしていると、耳鼻咽喉科の先生から「寝ている間に終わってるから。。」と言われて、Sちゃんが笑顔で了解したそうです。
そうか。。寝ている間に終わる治療って、そう意味では、楽なのかも令とふと、矯正治療と比較していました。矯正治療は、患者さんと矯正歯科医とか、長期間、二人三脚で進めていく医療なので、簡単そうに見えますが、ある意味、とてもたいへんなのです。「子供が嫌がって行かなくなったので、昔、近くの医院で矯正をしたけれども治っていません。」と再治療の相談に来られるお母さんとお子さんがおられます。
矯正治療の開始は簡単ですが、結果を出すこと、その後、その結果を維持することがとても重要です。安易にスタートすることのないよう、治療が終わった人からの情報を集めて、この診療所でこのドクターといっしょなら、がんばっていけるぞぉ。。という気持ちをしっかり確認して、開始を決めることが大切ですね
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There is no easy case!
”簡単な症例なんてひとつもない獵”この言葉は、私が若い頃、アメリカ人の矯正医アレキサンダー先生から聞いた言葉です。そのとき、私は”ふーーん。そうなの。”ぐらいにしか思っていなかったのですが、矯正臨床28年が過ぎた今は、”その通り
”とつくづく思うのです。
今日も患者さんとお話ししていたのですが、”簡単に治せますよ。”と言われるとそちらに惹かれるとのことでした。”なるほど、そうなんだろうなぁ。。”って思います。私も若い頃は、”歯を押すか引くかすればいいんだから、矯正は簡単獵”なんて、とんでもないことを思っていましたが、今は、矯正治療の奥深さを感じる毎日であり、こんな症例は、こういう点とああいう点に気をつけないと。。。簡単そうに見えて、歯を安易に抜歯するとエライ目に合うんだよなぁ。。なんて、初診相談の時には、頭をフル回転させて、あらゆるリスクをリストアップして、それらをふまえながら、ご説明しています。
そして、顔の横からと前からのレントゲン写真、歯や顎関節のレントゲン写真と模型、虫歯になりやすさや歯茎の状態、舌や口唇の動きなど、すべてを診査したうえで、最も適した治療方針を選択します。歯科矯正には、その能力が問われるのです。
最近、”簡単”とか”早い”とか、、、そう言った宣伝文句が流行っているようですが、矯正治療開始時には、セカンド、サードオピニオンを聞いて、慎重にスタートしてほしいと思っています -
近づく世界禁煙デー
しばらくご無沙汰でした。日曜日のテニス
で軽い肉離れを起こしてしまいました。人間って、どこか調子が悪いと、テンションが下がりますね。(私だけ令)でも、もう大丈夫です獵
5月31日世界禁煙デーが近づいてきました。診療所にポスターを貼りました。”喫煙は薬で治せる病気だよ
”というメッセージです。このポスターを見て”お薬で治せるんですか?実は、主人が。。
”って相談してくださるお母さんもおられます。
昨日の矯正相談のSちゃんのお父さんのポロシャツのポケットから見えているタバコが気になったので、ちょっといいですか?ってお話してみました。ご両親ともに吸っておられるとのことでした。
1)タバコには殺鼠剤、殺虫剤、カドミウム、ダイオキシンなどなど、聞くに恐ろしい毒がいっぱい入っていること
2)普通、毒が入っていることがわかったら、毒入りのお水は飲まないだろうし、中国ぎょうざもやめるだろうに、タバコだけはやめられないのは、ニコンチンの依存作用のためであること
3)お薬を使えば、そのニコチンの作用を抑えることができること
4)副流煙の方が毒が強くて、子ども達への害が心配であること。また、親が吸っていると子どもの方が、早くから吸い始めやすいこと
5)タバコをやめれば、お子さんの矯正治療費を払ってもおつりが来ること
などなど、お話しました。
お子さんの歯並びを一生懸命心配されているやさしいご両親でした。こんなにあたたかい家庭にタバコが入り込んでいることが許せない獵と、矯正相談と同じぐらい、禁煙相談に力が入ってしまった私でした。なんとなく、禁煙治療を始めてもらえそうな感じがしました。がんばってくださいね
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抜歯・非抜歯の判断(その2)
抜歯・非抜歯の判断の続きです。子どもは、他の条件が非抜歯の適応と判断された場合、比較的、簡単に拡大ができますし、むしろしっかり骨ごと拡大しないといけない場合もありますが、成人の場合は、他の条件が非抜歯に適していても、そう簡単に拡大はできません。骨が固まってしまっていて拡大するのが難しいからです。
前からのレントゲン写真で、歯列が内側に倒れこんでいるような人は、拡大を考えます。ただ、歯の外側の骨や歯茎の厚さが薄い人は、拡大をすると危険です。無理に拡大することによって、歯茎が下がってきたり、外側の骨がなくなってしまったります。コンビームCTという3次元で骨の状況を捉えた像で、歯を支えている歯槽骨に穴が開いていしまっている症例を見たことがあります。
大人の場合で、どうしても拡大が必要な場合は、コルチコトミーと言って、骨の固い部分を切ってから、拡大をすることもあります。
拡大して非抜歯で治さないといけない症例もあれば、非抜歯を求めすぎて、拡大しすぎて、問題が生じてくる症例があります。
順番にブログで抜歯と非抜歯の判断要素について説明を続けようと思いましたが、今日書いていて、やはりブログでは限界がありそうです。
とにかく、抜かないで治せることがファーストチョイスになりますが、抜かないだけが素晴らしいわけではなく、抜いた方がゴールが高くなる場合は、抜歯して治療を行わないといけないし、逆に、抜かないでも治せる症例を抜歯して治すものもちろん良くないし、検査結果をもとに、抜歯、非抜歯のメリットデメリットをよく考えて、相談して、納得して、治療方針を決定するものだということをお伝えして、終わります
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手作りHPにこだわるぞ!
○○○○研究所というコンサルタント会社から、ダイレクトメールが来ました。”ホームページ・広告によって年間250件以上の相談者を確保する手法””検査移行率80%を達成するための初診カウンセリング手法”などなど、経営の仕方を教えてくれるそうです
。うううんんん。でも、矯正治療はそんなモンじゃないでしょ。最後は、矯正歯科医の診断力と技術力と倫理観(使命感)+衛生士としての診断力と技術力と倫理観でしょ。最後は、人間対人間の信頼関係でしょ。医療にも経営のセンスは必要だけど、経営手法だけでそんなに変わるようなものではないでしょ。開始する患者さんが多くても、その後はどうするの令などなど疑問がいっぱい令。矯正治療という領域だからでしょうか?心臓手術はそうはならないでしょうに。。。私は、矯正治療も心臓手術と同じ医療だと思っているけれど。。。なんとなく魅力的に聞こえるお話ですが、私は、よけいに手作りHPにこだわりたくなりました。2001年に私がHPビルダーの使い方を勉強し、(その前にダンナちゃんが、トライアルでミニHPを作ってくれました
。)壁紙の色やバナーを選んで作りました
。リンクやその後の追加の作業は、助っ人さんに頼んでいますが、私の愛情こもったHPです
。子育てみたいな感覚です。私が皆さんにお伝えしたいことを次々と増やしてきました。ちょっとダサイ感じがするとは思いますが、私の愛すべきHPをよろしく
!いつまでこのこだわりHPを続けられるんだろう???がんばるどぉ
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イノウエ矯正歯科の禁煙の成功率
先日、禁煙推進の集まりで、イノウエ矯正歯科での禁煙成功率は9割を超えています。と言うと、びっくり
されることにびっくり
しました。かなり良いところでも3割、アメリカなどはもっと低そうです獵
今まで、当たり前と思っていたのに、どうしてだろう令と考えてみたら、1)矯正治療の初診相談の時、気がついたら、時間延長して矯正治療よりも禁煙のお話をしている自分がいます。がんばって矯正治療したのに、50歳で歯周病で歯がボロボロになったら、どうすんの!もったいないじゃん!タバコやめれば、矯正治療費なんてすぐに貯まるよ!タバコはねぇ。。殺虫剤とか殺鼠剤とか入ってるの知ってる?などなど。。延々お話してしまいます。2)その後、歯科衛生士が、歯磨き指導のときに、”応援してるからねぇ。”とさらにたたみかけます。3)矯正治療はその後、少なくとも動的治療1年半は毎月通院されますから、その際に、スタッフみんなで、”どう?どう?続いてる?すごいねぇ!”って褒め続けます
。そうすれば、みんな禁煙成功されるのです。忘年会は気をつけろぉ
ってしきりに言ってて、無事クリアしたのに、新年会のこと言い忘れて、再喫煙始めてしまった阪大生のM君。診療室に入るなり”今日はまた、タバコくさいじゃん!どうしたん!”みんなすぐわかっちゃうんです。”わかりますか?実は新年会で。。”って照れくさそうなM君
。でも、大丈夫獵また、すぐに禁煙を始めればいいのです。M君も、その後は大丈夫みたいです。以前はパッチを使った人もおられましたが、最近は、パッチもなしで成功されています。ご家族がやめてくださった例もいっぱい。
でも、ミュージッシャンのT君と高校生のI君は、私からの語りかけにも、全くその気なし。いつの日から気が変わってくれることを願いつつ、忘れた頃に、”まだ、気持ち変わんないの?待ってるからねぇ”と声かけを続けています。
チャンピックスという経口の禁煙補助剤も出たようです。大切なのは、本人の意志と周りからのあたたかい応援だと思います。
タバコを吸っている人が悪いんじゃない。みんなで助け合って、タバコの害から健康を守っていきましょう。禁煙と矯正治療は、意外と素敵な組み合わせ。是非、きれいな歯並びときれいな空気をいっしょにゲットしましょう
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他院で一度治療した後の、再治療が増えてきたように思います
以前、東京の先生からよくこんな話を聞いていましたが、最近、イノウエ矯正歯科でも、”一度近くの医院で矯正したけれど、状態が良くないので、再治療を考えているのですが。。。”という相談が増えてきたように思います。日本でもだんだん矯正治療への関心も高まってきましたが、それだけに、簡単に始めてしまって、その結果が思わしくない。という例も増えてきています。お金も戻ってこないし、すでに歯を抜いた後で、もうこれ以上歯が抜けなくて治療が難しかったり、学童期の良いタイミングを逸してしまったり、、、残念なお話もあります。いつも言うように、矯正治療は奥が深く、簡単に治る症例もあれば、私たち日本矯正歯科学会臨床指導医(旧専門医)でも難しい症例もあります。その見極めがきちんとできること。ただ歯を並べるだけじゃなくて、機能面もきちんとコントロールして、外したあとの安定まで考えて治療すること。というあたりがしっかりしていないと、治療に費やした労力も費用も無駄になってしまいます。アメリカでは矯正の歴史は長いので、転医してこられた患者さんは、みんな矯正治療に対して、高い知識を持っておられます。(いつかエピソードをご紹介しますね。)日本の患者さんも早くアメリカのように賢い患者さんになってもらいたいと思います。