昨日、豊中市歯科医師会主催の研修会に参加してきました。以前から尊敬している阪大の先輩である月星先生のご講演を無料で拝聴できるなんて。。と、またまた、日本矯正歯科学会臨床指導医(旧専門医)には直接は関係ないのですが、出かけてきました。”矯正以外のお話を聞くことも大切だ”と常々思っていますが、やっぱり収穫は大きかったです。
月星先生は、外傷歯の治療や歯の移植では世界的に有名な先生で、以前、ヨーロッパ矯正歯科学会の書籍展示スペースをのぞいてみた時には、英語に訳されたご著書だけでなく、他の言語の訳本もあったような。。
先生の治療の基本は、最小介入の最大効果。ヒトの持つ治癒能力を最大限に発揮できるような歯科治療を常に探求されておられます。時に、歯科の常識をくつがえすような治療でも、論理的に考え、実行されて成果をあげておられます。
私も医療の介入は最小であるべき、と常に考えていますので、月星先生のお考えがすんなり入ってきました。専門分野は異なるけれども、治療の考え方や進め方が、とても参考になりました。
理論に基づく医療、鵜呑みにしない医療を、最小の介入で行い、患者さんに最大の利益をもたらすべき獵という基本的考え方を、再確認できました。がんばらなくっちゃ
タグ: 歯
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月星先生のご講演
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寝ている間に済む手術
扁桃腺肥大がアゴの発育に大きな影響を及ぼしていることがあります
。Sちゃんもその一人で、あまりに扁桃腺が大きいので、市民病院に、扁桃腺摘出術の相談に行っていただくことになっていました。でも、Sちゃんは嫌そう
で、お母さんもそのSちゃんの様子を見て、かわいそうだから、、と消極的なので、ちょっと心配していました。
そのSちゃんが、昨日おみえになったのですが、お母さんもSちゃんもとても笑顔で、夏休みに手術をしていただくことに決まりました。ってお答えになるので、びっくりしていると、耳鼻咽喉科の先生から「寝ている間に終わってるから。。」と言われて、Sちゃんが笑顔で了解したそうです。
そうか。。寝ている間に終わる治療って、そう意味では、楽なのかも令とふと、矯正治療と比較していました。矯正治療は、患者さんと矯正歯科医とか、長期間、二人三脚で進めていく医療なので、簡単そうに見えますが、ある意味、とてもたいへんなのです。「子供が嫌がって行かなくなったので、昔、近くの医院で矯正をしたけれども治っていません。」と再治療の相談に来られるお母さんとお子さんがおられます。
矯正治療の開始は簡単ですが、結果を出すこと、その後、その結果を維持することがとても重要です。安易にスタートすることのないよう、治療が終わった人からの情報を集めて、この診療所でこのドクターといっしょなら、がんばっていけるぞぉ。。という気持ちをしっかり確認して、開始を決めることが大切ですね
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患者さんのお父さんの矯正の話
今日の診断の患者さんは大学院生のAさん。レントゲンを診ながら歯根吸収の説明をしている途中で、「父は、矯正をしたけど、歯周病で歯がほとんどないんですが。。。
」と心配そうに質問をされました。お父様は、50代後半とのことでした。それはそれは、お気の毒なのことですが、お父様が矯正治療を受けた頃は、矯正治療のレベルが全体的に低かったこと、矯正治療前にしておくべき歯周病に対する処置、矯正治療中の注意、治療後の対応が充分ではなかったことが理由として考えられるとご説明しました。歯周病のリスクは遺伝的な要素も強いので、Aさんも心配ですが、歯周病の処置を行ってから、歯周病に配慮した正しい矯正治療をして、メインテナンスを続ければ、そのまま放置するよりも歯周病で歯を失うリスクを大きく下げることができます
とご説明しました。でも、いい加減な矯正治療をすれば、それはかえってAさんのお父さんのように、リスクを高くすることもあるんだよなぁ。。。矯正治療もやり方ひとつで、凶器にもなりえるんだよなぁ。。って、実感させていただきました。
凶ではなく、吉となる矯正治療となるよう、慎重なスタートが大切ですね
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There is no easy case!
”簡単な症例なんてひとつもない獵”この言葉は、私が若い頃、アメリカ人の矯正医アレキサンダー先生から聞いた言葉です。そのとき、私は”ふーーん。そうなの。”ぐらいにしか思っていなかったのですが、矯正臨床28年が過ぎた今は、”その通り
”とつくづく思うのです。
今日も患者さんとお話ししていたのですが、”簡単に治せますよ。”と言われるとそちらに惹かれるとのことでした。”なるほど、そうなんだろうなぁ。。”って思います。私も若い頃は、”歯を押すか引くかすればいいんだから、矯正は簡単獵”なんて、とんでもないことを思っていましたが、今は、矯正治療の奥深さを感じる毎日であり、こんな症例は、こういう点とああいう点に気をつけないと。。。簡単そうに見えて、歯を安易に抜歯するとエライ目に合うんだよなぁ。。なんて、初診相談の時には、頭をフル回転させて、あらゆるリスクをリストアップして、それらをふまえながら、ご説明しています。
そして、顔の横からと前からのレントゲン写真、歯や顎関節のレントゲン写真と模型、虫歯になりやすさや歯茎の状態、舌や口唇の動きなど、すべてを診査したうえで、最も適した治療方針を選択します。歯科矯正には、その能力が問われるのです。
最近、”簡単”とか”早い”とか、、、そう言った宣伝文句が流行っているようですが、矯正治療開始時には、セカンド、サードオピニオンを聞いて、慎重にスタートしてほしいと思っています -
医療再生
久しぶりに重ーーい内容。朝日新聞のあしたを考えるというコーナーに、医療再生が取り上げられ、英国の改革の例が紹介されていた。一時期は医療崩壊に直面していた英国が、今再建を果たしているそうだ。
英政府は病院の質や患者満足度などを評価する第三者機関「保健医療委員会」を立ち上げたとのことである。英国のシステムの詳細はわからないが、広告の色合いが強く信頼性の低いインターネットからの情報やランキング本で、患者さんが翻弄されている日本でも、きちっとした評価が行われて欲しいと思う。アメリカ人で日本に住む友人が、”日本は優秀な医師をみつけるのが難しいシステムになっている。”と言っていた。ドイツで目の手術を受けた友人は、”ドイツだったから、優秀な医師にめぐり合うことが簡単にできた。日本だったら、たいへんだったと思う。”と言っていた。それぞれの国の医療体制には長所と短所があって、いちがいにどこがいいとは言えないだろうが、日本でも安心して医療が受けられる環境が、早く整備して欲しいと思う。
矯正治療の分野でも、いろいろと問題が山積している。専門医制度も3つの学会の争いが原因で、公にはスタートできない状況が長く続いている。そのために患者さんは、安心して治療してもらえる矯正歯科をみつけにくい状況になっているのが残念だ。早く解決して、正しい矯正治療を受けられる環境が整備されることを願うばかりだ。 -
青空中抜き研究会
水曜、木曜の2日間、鹿児島に行ってきます
。青空中抜き研究会のミーティングに出席してきます
詳しくは、ホームページwww.aozora-nakanuki.com/infomation.html
をご参照いただけるありがたいのですが、以前、私たちは日本矯正歯科学会の専門医制度準備委員会のメンバーでした。専門医制度を立ち上げるにあたって、いろいろと討論を重ねている間に、矯正界の問題点や今後の課題が見えてきて、委員会解散後も、いっしょに活動したいね。というお話になりました。今は鹿児島大学名誉教授となっておられる伊藤先生をボスとして、6人の気の合う仲間どうし、楽しく活動しています。それぞれ仕事の担当の得意分野があって、いつからか、自分達を青空シックスと呼ぶようになりました。
青空塾という若い先生といっしょに研鑽を積む勉強会を開いたり、海外の先生との交流を深めたり、各医院でのデータを持ち寄って、矯正治療におけるエビデンスを追求しようとしたり、いろいろな方面からがんばっています。
何かとたいへんなのですが、青空の仲間といっしょだとなんでもがんばれてしまう私です。梅雨空が続いていますが、気持ちは青空で、2日間がんばってきますね
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昨日は禁煙の研修会、今日は顎関節症の研修会
昨日、世界禁煙デーには、稲本望先生の迫力あるご講演で、予想を超える人数で定員オーバーになった会場は、子ども達の健康をタバコの害から守ろうという熱気に包まれました
。来年度からの小中学校の敷地内禁煙の実現に向けて、大きな一歩を踏み出せたような気がしました
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今日は、朝から、続肇彦先生の講演会で勉強してきました。あまりのお天気の良さに、いつものテニスへの誘惑があったのですが
、振り切って出かけた甲斐がありました
。43年の臨床経験からのご講演は、奥深く、学ぶところがたくさんありました獵。続先生は補綴(かぶせ物や入歯)が中心の先生ですから、矯正には関係ないのですが、他の視点からの診方を学ぶことは、とても大切だと常々思っていますし、正直にご自分の臨床経験を若い人へ伝えてくださる先生のお人柄を10年前のご講演で感銘を受けていましたので、今回も受講しました。患者さんの言葉に真剣に耳を傾ける。シャーロックホームズのように、今の患者さんの訴えの原因となっているものを五感六感を働かせて掴み取る
。43年間、真摯に臨床を続けてこられた先生だからこそ言える言葉だと思いました。
日本矯正歯科学会臨床指導医(旧専門医)との視点の違いもありましたが、共通点では自信を深めることができ、今までなかった診かたも学ぶことができ、テニスに行かなくてよかったと思いました
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大学を卒業して矯正臨床26年の私は、43年経ったとき、続先生のようになれるよう、真摯に毎日の臨床に取り組みたいとあらためて思いました。
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近づく世界禁煙デー
しばらくご無沙汰でした。日曜日のテニス
で軽い肉離れを起こしてしまいました。人間って、どこか調子が悪いと、テンションが下がりますね。(私だけ令)でも、もう大丈夫です獵
5月31日世界禁煙デーが近づいてきました。診療所にポスターを貼りました。”喫煙は薬で治せる病気だよ
”というメッセージです。このポスターを見て”お薬で治せるんですか?実は、主人が。。
”って相談してくださるお母さんもおられます。
昨日の矯正相談のSちゃんのお父さんのポロシャツのポケットから見えているタバコが気になったので、ちょっといいですか?ってお話してみました。ご両親ともに吸っておられるとのことでした。
1)タバコには殺鼠剤、殺虫剤、カドミウム、ダイオキシンなどなど、聞くに恐ろしい毒がいっぱい入っていること
2)普通、毒が入っていることがわかったら、毒入りのお水は飲まないだろうし、中国ぎょうざもやめるだろうに、タバコだけはやめられないのは、ニコンチンの依存作用のためであること
3)お薬を使えば、そのニコチンの作用を抑えることができること
4)副流煙の方が毒が強くて、子ども達への害が心配であること。また、親が吸っていると子どもの方が、早くから吸い始めやすいこと
5)タバコをやめれば、お子さんの矯正治療費を払ってもおつりが来ること
などなど、お話しました。
お子さんの歯並びを一生懸命心配されているやさしいご両親でした。こんなにあたたかい家庭にタバコが入り込んでいることが許せない獵と、矯正相談と同じぐらい、禁煙相談に力が入ってしまった私でした。なんとなく、禁煙治療を始めてもらえそうな感じがしました。がんばってくださいね
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プロフェショナル辣腕弁護士さん
20日のNHKのプロフェショナルで肝炎患者さんを救う辣腕弁護士さんが紹介されていました。言葉そのものは忘れましたが、”弁護する人の心と自分の心がひとつになるようになって、勝訴できるようになった。昔は負けてばかりだった。”っておっしゃっていました。ふと、矯正も同じだ
って思いました。
矯正治療も、患者さんの心と医療者の心が、ひとつになったとき、不正咬合に勝てるんだよなぁ。。。って思います。私たちは医療の立場から、治療方針や技術や指導のうえでベストを尽くし、患者さんは歯磨きや装置のたいへんさや、舌や唇の悪い癖との戦いに努力してくださって、その二つが車の両輪のように助け合って始めて、素晴らしい成績に終了できるんだよなぁ。。。って思います
私も若かった頃、自分の技術だけで治せると思い込んでいた頃は、勝率が低かったような気がします。
患者さんの装置を外す瞬間というのは、私は体育会系なので、力を合わせて勝利を勝ち取った瞬間
と同じ感動があります。
弁護士さんも同じなんだろうなぁ。。って思いました。
最近は、矯正用インプラントなど、患者さんの協力がなくても治療ができますよ。といううたい文句の器具も出てきていますし、いとも簡単に治せます。といった宣伝も出ていますが、もちろん、それらは治療の助けにはなりますが、どんな装置を使っても、最終的には、患者さんと医療者の心のがひとつにならないと成功しないと思うのです。
明日からも勝利に向かって、患者さんと心をひとつにして力を合わせて、がんばるぞぉ!!!おぉ!!!(ちょっと体育会系すぎ?
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世界禁煙デーのポスター
今日は、池田市禁煙推進ネットワークのミーティングがありました。5月31日に行う研修会の打ち合わせなどをしてきました。帰りに保健所から禁煙デーのポスターをもらいましたので、早速診療所に張りました。
ちょうど、久しぶりに来院してくれた22歳のS君。歯が黒くなったのは、タバコ吸ってるからやろうな。って話してくれました。
私は、笑顔で、”タバコは子どもの吸うモンや。S君も20歳をすぎて分別がつくりっぱな大人になったんやらから、タバコなんかさっさとやめや。早いモン勝ちやで!”って、知らない人が聞くと反対のようなお話をしました。
でも、その通りなんです。”分別のつかない子どもを狙え。”というのが、タバコ業界のキャッチフレーズであることは、”悪魔のマーケティング”という本で、明らかにされています。
子ども達をタバコの害から守ろう。吸い始めないことが大切。ということを、もっともっと拡げていきたいと思います。