危険をはらんだ矯正治療の普及
最近、矯正治療が急激に普及してきているようです。
うれしい反面、心配も膨らんできています。
当院には、最近、「歯は並んだけれど、噛めないので困っています。」という相談が増えているのです。
私が34年前に開業して間もない頃、アメリカの友人の診療所見学に行った時のことです。
ご自宅で、子供さんのアルバムを見せていただいたとき、
「この子は、僕の患者さん、この子も、この子も、、、」
と、多くのお子さんが友人の診療所で矯正治療を受けていて、アメリカでの矯正治療の普及度に驚くと同時に、日本の子どもたちも、もっと矯正治療を受けてくれるといいなと思ったものです。
この30年で、急激に環境は変わり、日本でも矯正治療が常識になってきました。
ただ、アメリカでは、親の世代ももっと以前から矯正治療を受けており、矯正治療とはどういうものかということが理解されていたように思うのですが、日本は急速に広まり過ぎて、本物の矯正治療とはどういうものか?ということがわからないまま、どんどん広まっているように思えます。
(アメリカでも、歯型だけ送ればマウスピースが送り返されてくるような矯正治療が問題にはなっているようですが、、、)
歯を並べるだけが矯正治療ではないのです。
ルックスをきれいにするためだけのものではないのです。
患者さん方の動機はそうかもしれませんが、だからといって、それでOKではありません。
しっかり噛むことができて、装置を外した後も安定し、患者さん方の100歳人生の食を支え続けることができるようにするのが矯正治療なのです。
美容整形、エステ、ヘアーサロンとは違うのです。
”矯正治療は、全身の健康を守るための医療”であることをしっかり認識して、慎重に治療を始めていただきたいと、心から願っています。