マウスピース型(アライナー)矯正治療装置
11月初旬に開催された日本矯正歯科学会という矯正の分野では最も認められている大きな学会のオンライン視聴をしているところです。
そこで、大会長の槙教授が企画されたアライナー矯正(マウスピース型)についてのセッションで、槙先生ご自身が講演されていました。
その中で、大学病院に集まってくる失敗症例を見せてくださりながら、「自分も失敗したことがある。もっと、失敗症例を提示して、失敗から学ぶことをしなければならない。治った症例ばかりを発表するのは良くない。」と、警鐘を鳴らしておわれました。
「コンピュータシミュレーションでは、いとも簡単に歯が動いて、きれいに簡単に治るように見えるが、矯正治療はそんなに簡単なものではない。コンピュータ上でのバーチャルの動きと同様に歯が動くと錯覚しないように気を付ける必要がある。」
「ワイヤー矯正も、アライナー矯正も、大切なのは、ワイヤーやアライナーという道具ではなくて、それを使いこなすドクターであり、治療に入る前の診断と治療計画の立案である。」
と明言されていました。
その通りだと思います。
矯正治療は奥が深いんです。
大学卒業後40年以上も矯正治療だけをやってきた私でさえ、まだまだ奥が深いと感じています。
若い頃参加した講演会で、アレキサンダー先生というアメリカの実績ある先生が、「簡単な症例は、世界中ひとつもない。」と言っておられたことを今思い出して、ひしひしとその重みを感じています。
人生100年時代の食を支え続ける歯並び・咬み合わせなんです。
矯正と言うと、ついつい審美性だけに目が向けられがちですが、健康を支えるとても重要な医療であることを、再認識していただけるとうれしいです。