矯正治療の難しさを知っている人はほんの一握り

くどいようですが、昨日の続きです。

ふと、矯正治療の奥の深さ、難しさを知っているのは、何人いるのだろう?と思いました。

自分だって、大学の矯正学教室に残って2、3年目の頃、押したり引いたりすると歯が動くのがうれしくて、なんだか、もう一人前に矯正治療ができるようになったような気分になっていたのを思い出しました。

その後、5年、10年、、、40年と矯正治療をやってきて、何千という症例を経験させていただいて、「違うぞ、、、そんな甘いもんじゃないぞ!」って、歳を追うごとに思うようになってきたのです。

一般の方はもちろん、マウスピース型矯正装置を製造、販売している人も、それを歯科医院に導入している歯科医師の先生方も、ご存知なくて当然なのです。

矯正治療の本当の難しさを知ってる人は、日本矯正歯科学会の専門医試験を合格した300人弱と、大学の先生方と、他にもがんばっておられる先生方と、、、おそらく日本中で1000人ぐらいなのかもしれません。

1000/1億=10万分の1の人しか知らないから、わからなくても当然なのだということに、改めて気づいたのです。

私がここで、叫んだところでどうにもできないのはわかっているのですが、少しでもわかっていただけるよう叫ぶしかないのかなと思っています。

血液製剤にしても、タバコにしても、日本は健康被害についての対応が後手後手になっているような気がします。

日本が、アイコスという新型タバコの世界シェアの96%を占めた(2016年10月)。ということ、アイコスの販売を禁止しているという国もあるというのに、日本では派手な広告の下にどんどん広まって実験場になっている。ということ、(新型タバコの本当のリスク・田淵貴大より引用)を知っている人は何人いるのでしょう。

奇しくも、インビザラインのことを、「患者さんのご自身の費用負担による世界的大規模人体実験」と言っている知人がいます。わかりやすい表現だなと思いました。

「ブラジルでは、インビザラインは専門医資格を持つものだけが使用して良いと規制がかけられている。」とブラジルの日本矯正歯科学会臨床指導医(旧専門医)から聞きました。

正しい知識で、適応症例を見極めた上で、正しく使えば問題ないのかもしれませんが、濫用は本当に危険以外の何物でもないと思っています。

マウスピース型矯正治療の被害者がこれ以上増えないことを祈るばかりです。

矯正治療は見栄えをよくするだけのものではないのです。100歳人生において、正しい歯並び・咬み合わせで健康を支え、美しい歯並びで笑顔あふれる毎日を支えるための 大切な医療 であることを、改めてお伝えしたいと思います。

 

 

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