容易な症例はひとつもない
「容易な症例は、ひとつもない。」
「There is no simple case in the world」って、おっしゃってたかなぁ???
これは、アメリカの有名な矯正歯科医の一人Alexandar先生の言葉です。
開業したばかりの頃に出た講習会で聞きました。
母校の大阪大学矯正科で10年間矯正治療に従事してきて、それなりの自信を持っていた若い私には、
「ふーーん。それほど改めて言う言葉かしら?」
ぐらいにしか聞こえてきませんでした。
でも、あれから20年以上が経過し、特に、他院で治療した方からセカンドオピニオンを求められる機会が多くなってきて、
「なるほど。」
と、Alexander先生の言葉がしっかり理解できるようになりました。
矯正は、本当に専門性が高く、奥が深いのです。
長い年月、それも毎日、膨大な患者さんに携わらせていただいて初めてわかることなのです。
経験の浅い先生には、その症例の難しさを、治療開始前に察知することができないのです。
そういう私も、医局にに残って2,3年の頃、鼻高々の気分だったような記憶があります。
しばらく前に、「東京では、安易に矯正を初めて、患者さんも歯科医師も泣いている例がいっぱいある。」
というのを聞いたことがありました。
今、それが、大阪に押し寄せてきている感がします。
一般歯科医の先生方も、患者さんも
「容易な症例は、ひとつもない」
というAlexsander先生の言葉を、かみしめていただきたいと思う今日この頃です。