顎関節症の予防
 顎の関節が痛い。口を開く時ひっかかる感じがする。口が開かない。開いたり閉じたりする時に音がする。これらを総称して、顎関節症といいます。20才前後の女性に多いと言われていますが、最近は小学生の子供達にも増えてきたように思います。

 顎関節とは、口を開いたり閉じたりする時に動く、耳の前にある関節です。AAOP(The American Academy of Orofacial Pain)のガイドラインには、顎関節症は、基本的に整形外科学領域の問題と同じなので、原則的には、安静にしていれば、自然に治癒することが多い。統計学的に加齢とともに患者数は減少するので、self-limiting(どんどんひどくなるのではなく、だんだん収束する)な疾患と言われています。 ですから、以前は、関節の手術も頻繁に行われていましたが、最近の顎関節学会では、少々の問題があっても、毎日の食事ができて、日常生活を普通に送ることができれば、特別の治療をする必要はないとしています。

 しかし、顎関節は毎日の食事の際に必ず使うので、問題があっても安静にするのは難しいし、湿布して包帯するわけにもいかない。毎日の事なので、音がしていても気にしないでいると、口が開かなくなった。痛くてたまらなくなった。という問題に進展してしまったという場合があります。特に、患者数は10代から30代までは増加しており、子供の時の発症そして悪化をできるだけ防ぐことが望まれます。

 簡単に出来ることから書いてみます。
1、幼児期からしっかり噛んで食べましょう。
 よく言われていることではありますが、骨格系の健全な発育は大切です。多くの症例を診ていると、問題を起こしてくる関節は、関節頭が細く、発育が十分でない傾向にあるように感じます。「食事の際に常に飲み物を置いていませんか?」と質問すると、お母さんが「いけないのですか?」と驚かれることがよくありますが、自分の唾液でしっかり咀嚼することなく流し込んでいては、正しい発育は望めないので、飲み物は食後にしてください。
2.悪習癖をやめましょう。
 つめかみ、頬杖、噛みしめなどは、長時間にわたり、顎関節に大きな負荷をかけ、顎関節症を悪くする一因となりますので、やめましょう。歯にかかる力は顎の関節へも伝わっていきます。お肉をしっかり噛んでいる時間は1日に何分あるでしょう?でも、つめかみや頬杖などは無意識の間に、普通の人の何倍もの長時間、顎に力をかけつづけていることになります。顎を悪くしてしまう癖は、すぐに止めましょう。
3.顎関節に雑音がし始めたり、噛み合せが変わったり、何か異常を感じた場合、あるいは過度の歯軋りが気になる場合には、すぐに歯科医に相談してください。
 歯科医でも、顎関節を扱う先生と扱わない先生がいます。電話で問い合わせてみてください。特に子供の顎関節症は、噛み合わせが原因のひとつになっている場合が多いので、矯正専門医に相談するのが良いと思われます。
 歯軋りを続けていて、歯が磨り減ってしまった子供達、顎の音がするのはあたりまえと思っていたら、口が開かなくなってしまった子供達がいます。もちろん、問題ない場合もありますが、問題ないかどうかのチェックを早めに受けておくと安心です。
 顎関節症の検査、診断、治療には、保険が適用されます。
          by Yasuko Inoue


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